魔書の面の皮/きと

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Auther : きと
Circle : be*be
Twitter : @kitokitten
紹介文 : BLから百合までジャンルの垣根なく執筆中。東京のイベント中心に参加しています。お見かけの際はよろしくお願いいたします。

 童話が好き。単純で奥が深く、無邪気かつ残酷な世界。
 特に『赤い靴』と言う童話を幾度となく読み返している。
 赤い靴を履いた少女は一生踊り続ける呪いをかけられた。しかし少女は自らの足を切り落とす事で呪いから解放される……酷い話だ。それでもつい手を伸ばしてしまうのは、本当に心の底から魅せられていたからであろう。
「あ」
 本が机の下に落ちた。拾おうと本に触れた瞬間、開いたページから伸びてきた指に手を掴まれ「あ」と言う間に本の中に引きずり込まれていた。こんな声が聞こえる。
【そんなに私が好きなら、貴女の足をちょうだい……】
 目の前には少女の狂わしい笑み。
 ああ、ここはもう童話の中。
 逃げる気なんかないわ、大好きな世界。


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コメント

  1. いぐあな より:

    童話『赤い靴』、自業自得の残酷なお話ですけど、とても魅力的なお話ですよね。
    囚われてしまう気持ち、良く解ります。

  2. なな より:

    流れるような文章で引き込まれました。最後の一文が凄く好きです。

  3. きと より:

    作者です。

    >いぐあなさん
      感想ありがとうございます! 確かに自業自得なのですよね。でも幼少時代に読んだ際はラストに尋常でない衝撃を受けた事を思い出し、今回題材にして書かせていただきました。

    >ななさん
      感想ありがとうございます! 引き込まれた、との感想嬉しく思います。最後の一文で上手く締められたのでは、と感想をいただき思う事ができました。

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