ドーナツの穴の中にドーナツ屋があるのをご存知だろうか? その名も穴井どうなつ堂。店主の穴井さん(45)は岡山県で製菓を学ぶ学生だったが、ある日実習で作ったドーナツの穴に吸い込まれ、それ以来ずっと穴の中で生活している。穴には同じように吸い込まれた人たちが集まって暮らす町があった。 穴井さんの店には今日も行列が絶えない。数十万個に一個の確率で現れるという《あたり》を求めて人びとは並ぶ。食べようとすると吸い込まれ、外の世界に出てゆけるのだ。たいていは何も起こらず落胆することになるけれど……でも大丈夫。穴井さんの揚げたドーナツはどれもほっぺたが落ちるほど美味しいから、ホラ、すぐにみんなニコニコ笑顔。 |
Auther : らし Circle : おとといあさって Twitter : @rashi_catwillow 紹介文 : <300字SSポストカードラリー>と、<堂々巡りスタンプラリー>のどうじ参加作品でした。 |
まずポスカを見たときに一瞬、「え!?」と。
まさに300字とイラストの融合ですね!
お話自体も童話のような趣があってとても面白いです。
まさに読む体験そのものが物語になっていてとても面白かったです!
らしさんの物語には、不思議な出来事を、え、当たり前のことですよ、って自然に流す力があって、だからドーナツの穴の中に吸い込まれても、その中に街があっても、そこにドーナツのお店があっても、みんなニコニコでも、あぁそうなんだいいねぇって思っちゃう(笑)
ドーナツの中から外へ文字を読むのは読んだひとが穴の中に落ちないようにって配慮からだったりするのかしら、なんて。穴の中に閉じ込めるつもりならたぶん逆だったんじゃないかとか←
これからドーナツを食べるたびに、この穴に吸い込まれたら穴井さんのもっとおいしいドーナツが食べられるのかーなんて思っちゃいそうです。
素敵なポスカをありがとうございました!