鐘時計/PAULA0125

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 教会の鐘の音は、祈りの音。
 平原を駆けぬけていく音が、人々の祈りを吸い、重く大きくなりながら空を高く高く昇って行く。

 感謝と賛美と懺悔と、それから少しの願い。

 軽々と鉄の翼を持って、舞い上がる。

「こら! いつまで鳴らしてる!
 早い所ミサに出なさい、
 今日はあの方の兄上殿と、
 合同でやるミサだ。早く来い!」

 鳴れ鳴れ、鐘の音。香のように昇って行け。
 日に三度、祈りの時を告げる信仰の鐘よ。
 我等の脆き賛歌を神へ届けせしめたまえ。

 そうすれば私たちは、ぼくたちは、
 鐘の音が空へ昇り続ける限り、
 祈りの時を刻むその音を聞きながら、
 教会に来る暇も余裕もない、
 貧しく乏しい日々ですら、
 貴方を想いて、生きていけましょう。 

 

Auther : PAULA0125
Circle : いくそす。
Twitter : @H_tousokujin (助手:骨林頭足人)
紹介文 :  当サークル「いくそす。」は、キリスト教各宗派擬人化小説と聖書二次創作専門サークルです。
 お茶の水にあるニコライ堂の鐘って素敵。尚当サークルでは、兄が西方、弟が東方。
※無配三種の内の一つ。残り7篇は、ポストカードコンプリートセットにて販売しております。

 

 

 


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コメント

  1. いぐあな より:

    四方八方から税を絞り取られた庶民の生活が浮かんできます。
    彼と鐘の音だけは彼らに寄り添っていますように。

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