懐中時計/PAULA0125

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 子供の頃、わしゃいつも腹が空いとった。不景気で、大切にしてた玩具の時計すらも、売らなきゃならん言われてのぉ。悲しくて悲しくて、この教会にお祈りに来たんじゃ。

「坊や、どうしたんだい。ここは贖罪の教会だ。何か悲しい事や許せない事があるのかい。」
「そうか。お前はその時計が大事なんだな。ならその時計もお前が大事だろう。愛し合っている者同士を人が引き裂いてはならないと、主も仰せになっている。安心して行きなさい。」

 その方に祝福されてからの、わしの家の商売は驚くほど上手く行っての。時計なんて沢山買えるようになって、この時計も直せなくなるくらいの時間が経ったのじゃよ。

「坊や、どうしたんだい。ここは贖罪の教会だ。また悲しい事や許せない事があるのかい。」

 ええ、あの日わしに娶らして下さった古女房を、わしの代わりに、面倒をみたってくだされ。永遠の信仰の時を刻むように、わしの女房(とけい)を受け取ってくだされ。 

 

Auther : PAULA0125
Circle : いくそす。
Twitter : @H_tousokujin(助手:骨林頭足人)
紹介文 :  当サークル「いくそす。」は、キリスト教各宗派擬人化小説と聖書二次創作専門サークルです。
 人は老いても、その愛は永遠のもの。ところでサクラダファミリアっていつ出来るの?

※無配三種の内の一つ。残り7篇は、ポストカードコンプリートセットにて販売しております。

 

 

 


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コメント

  1. いぐあな より:

    擬人化と聞いて『信仰心』かなぁ……と(自信ないですが)
    古今東西、余り人は変わらないものだと思いました。

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