酷い雪の日だったと思う。
旅の途中で寄った城で、まだ疲れがとれていなかった。
「教皇(パパ)さま、教皇(パパ)さま、客人ですよ。ハインリヒがやってきました。使いではないんです。本人なんです」
言われるがままに窓から見下ろす。真っ白な銀世界の中、真黒な服を着た人物が、真赤な肌を覗かせ、雪の中に頭を突っ込んでいる。
「私はキリストに倣う者、どうか破門を解いて下さい。このままでは破滅してしまいます。」
頭の上には、皇帝の冠の代わりに、雪の冠を被って、その惨めな事と言ったら無かった。
それでも要求を呑むことを渋っていると、見かねた彼の父が、預言のように言った。
「彼はキリストに倣いたい者。どうぞ破門を解いておやり。このままでは破滅してしまう。」
―――皇帝も、教皇も、教会(おまえ)さえも。
Auther : PAULA0125 Circle : いくそす。 Twitter : @H_tousokujin 紹介文 : キリスト教各宗派擬人化小説と聖書二次創作専門サークルです。 キリスト教と雪と言えば、『カノッサの屈辱』。書くしかないじゃない。結末はwebで! |
「カノッサの屈辱」
教皇が皇帝の上に立つことを示した日でもありますが、預言をみると、やはり教皇や教会も皇帝無しにはいられないように感じます。