冠雪/PAULA0125

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 酷い雪の日だったと思う。
 旅の途中で寄った城で、まだ疲れがとれていなかった。

「教皇(パパ)さま、教皇(パパ)さま、客人ですよ。ハインリヒがやってきました。使いではないんです。本人なんです」

 言われるがままに窓から見下ろす。真っ白な銀世界の中、真黒な服を着た人物が、真赤な肌を覗かせ、雪の中に頭を突っ込んでいる。

「私はキリストに倣う者、どうか破門を解いて下さい。このままでは破滅してしまいます。」

 頭の上には、皇帝の冠の代わりに、雪の冠を被って、その惨めな事と言ったら無かった。
 それでも要求を呑むことを渋っていると、見かねた彼の父が、預言のように言った。

「彼はキリストに倣いたい者。どうぞ破門を解いておやり。このままでは破滅してしまう。」

 ―――皇帝も、教皇も、教会(おまえ)さえも。

 

Auther : PAULA0125
Circle : いくそす。
Twitter : @H_tousokujin
紹介文 :  キリスト教各宗派擬人化小説と聖書二次創作専門サークルです。
 キリスト教と雪と言えば、『カノッサの屈辱』。書くしかないじゃない。結末はwebで!

 

 

 


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コメント

  1. いぐあな より:

    「カノッサの屈辱」
    教皇が皇帝の上に立つことを示した日でもありますが、預言をみると、やはり教皇や教会も皇帝無しにはいられないように感じます。

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