柄×柄/風城国子智

 

 

 最近のAIは、頼めばその日に合った通勤服を選んでくれる。本当に便利な世の中になった。が。
「柄ブラウスに柄スカートは違うんじゃない?」
[無地スカートは全て洗濯中です]
 ワンルームの端に置かれたAI機器の反論に、思わず舌を出す。サンルームに揺れるスカートを数え、寧は小さく息を吐いた。このところ忙しかった所為か、洗濯物が溜まっている。洗濯もAIがしてくれれば良いのに。
[それから、今日の取引先の重要人物は花柄のスカートを好むという情報も]
「あんな奴、無視」
[そうですね]
 苛立つ声を上げた寧に頷いた、ように見えたAI機器に、笑みを返す。柄と柄でも、別に良いか。AIが指示した通りの服を、寧はその身にまとった。

 

 

Auther : 風城国子智
Circle : WindingWind
Twitter : @sxisato
紹介文 : 風城国子智(かざきぐにしさと)です。
諸般の事情によりWebのみ参加です。
AIが日常的に利用されるようになったら、こんな光景も日常茶飯事になるのかな、と思いながら書きました。

現在、一人と一冊の異世界転生ファンタジー「『魔導書』に転生した俺と、君との日々」を、各投稿サイトにて連載中です。

 

 

 


コメント

  1. いぐあな より:

    洗濯したものから、取引先の人物の服の好みまで把握しているとはなんと優秀な!
    後半の軽妙なやりとり、こんなAIなら一緒に暮らしていても楽しそうです。

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