神を纏う/PAULA0125

 

 

  ―――その男は、私の住んでいるアパートによくやってきた。住んでいるのは殆ど借金漬けで、転居も禄に出来ないような貧乏人ばかり。皆単身者になって心も荒んでいた。
 私がそんなアパートに来たのは、八歳になり、私を引き取った方の親が死んでしまい、行き場がなくなったからだ。私は彼等と会わないよう、いつも時間をずらして帰宅した。
 私と彼が鉢合わせたその日はとても寒かった。私は何も買わずにコンビニにいることも出来ず、駐車場に座り込んだ。
「坊主、これ食っとけ。今日は飯がねえぞ。」
 そう言って、その男は私に肉まんを買って渡してくれた。いつも金色に光っていた手首に、小さな銀色の十字架がついた数珠が巻き付いていた。アレは一体なんだったのか、ずっと不思議だった。
私は信徒になってから、理解した。あの男は、やくざでありながら、神の輩だったのだ。

 

 

Auther : PAULA0125
Circle : いくそす。
Twitter : @H_tousokujin
紹介文 :  キリスト教各宗派擬人化小説と聖書二次創作専門サークルです。
 キリスト教で「着る」と言えばこれが一番一般に馴染みがなくて、かつ重要かなって。

 

 

 


コメント

  1. いぐあな より:

    根から悪い人ではなかったのか、悪い人だからこそ、神に救いを求めたのか。
    なんにせよ、彼には神の輩としての優しい人だったようです。

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