いつも舐めてるのど飴の大袋には、形の違う〝当たり〟が入っていることがある。受験の時期だと合格祈願、バレンタインデーの前ならおまじないの言葉がパッケージを飾るのが、ここ数年のお決まりだ。 星やハート型の飴を舐めるのがなんとなく気恥ずかしくて、俺は買うとすぐに〝当たり〟があるかを確かめた。それを避けてポケットに突っ込むと、消費されない〝当たり〟が溜まっていく。 『あ、それ美味しいよね』 教室で常盤に声をかけられた時、驚いて返事もできなかった気がする。机の上に放った〝当たり〟を掴んで、渡しもしないだろうにこっそりポケットに混ぜ込んだ。 大事なのは、自然な装いとタイミング。もしくは話しかける勇気だけ。 |
Auther : 東見日和 Circle : complex garden. Twitter : @Harumi_Niwa |